悪魔の言葉。

今日は祝日の為、土曜の電話診察は無かった。

だから早朝いつも通りのお薬を服用して眠りに就いた。

何度か断眠したものの、直ぐに深い眠りに堕ち、目覚めたら

15時50分を過ぎていた。また眠り過ぎたようである。




夜中の朝方まで続く過食嘔吐が余りにしんどく辛いもので

あると、身体が酷く怠くなり、眠剤の効き目が即効発揮して

眠る事ができる。今の処方になるまでは、酷い入眠困難で

辛かったし、何度も断眠するので少しも眠った気がしなかったが

今の処方はどうやら身体に合っているようである。




しかし、日毎に身体が弱っている為か、お薬の効き目が強く

出過ぎてしまっている事は否めない。もう少し体力があった頃は

14時頃には目覚めて、自分の定めた1日の計画通り事を

運べていた。しかし今日の様に夕方近くになってやっと起床

出来るのは、やはり身体が弱ってきているのだと言う事を

痛切に感じる。体重は測っていないので一体自分が何kg

なのか分からないが、集中力に欠け怠い時に腕を見ると、

くっきりと血管が浮き出てしまっている。



しかしまだまだ痩せ願望は消える事は無い。



夕刻起床した後、怠くて鉛のような体を引き摺りながら、

シャワーを浴びた。調子の良い時は鼻歌を口ずさむ事もあるが

今日は洗髪し、身体を隈なく洗う行為で疲れ切ってしまった。

そうして暗い感情に侵されてしまうと、突然頭の中で



「死にたい。死んだらどれだけ楽になれるだろう」



と悪魔が囁くように頭に響き渡る。そしてそれは中々拭い去る

事が出来ない。勿論それを決行する事は禁忌である。

今、私が死んでしまったら遺された母の哀しみ苦しみは

計り知れない。私の事を凄く心配していて、そして病気に

対しても理解を示そうとしてくれている姿を見ると、私が先に

逝ってしまうのは、この病気で迷惑をかけている事実と

比べようの無いくらいの親不孝となってしまう。けれども、

死の誘惑は甘美であり、全ての苦しみを無くしてくれると言う

所が厄介である。でもこんな思いを抱いていては心身症状が

痛みを伴って出てくるので、読書をすることで回避した。




抑うつ状態にあると、やはり集中力に欠け本を読み進める事も

困難であったが、ほんの少しだけ『死』の誘惑からは

ほんの少し脱却出来た。




そして半額セールが始まるスーパーへ行く時間が迫ってきた。

毎日毎日同じ事を繰り返している自分が、堪らなく嫌になる。

ミルクティーで糖分補給をしながら、



『あああ、行きたくないよ！うう、あああ・・・。』



と延々呟きながら煩悶としていた。

『もう食べたくない、吐きたくない』

と言う思いで頭や心がパンクしそうであった。でも此処で食物を

買っておかないと、過食が始まった時に大変困る。

過食嘔吐と言う地獄から抜け出したいと切に願っている反面、

過食食材を買いに行かねばならないという思いは多大な矛盾を

孕み、拮抗して、もう心の中はぐちゃぐちゃになる。




1日の間に拒食と過食を繰り返す苦しみ。しかし拒食状態で

ストイックに過ごす時間が何とか自分を支えているような気が

しないでもない。摂食障害は治癒へ向かう所か、停滞したり

悪化したりの繰り返しで希望の光など見えない。

真っ暗闇の中手探りで進むべき路を探している様な、そんな

心許ない状態である。




せめて過食嘔吐が1日1回で済む事が出来るようになれば、

治癒へ向かっていると実感できるであろう。けれど今は

強迫観念に、強迫行為に縛り付けられていてどうしようもない。




身体の苦しみは日増しに酷くなるが、時々心が落ち着いていて

ゆったりと『休養』出来ているという感覚を覚える事もある。

この『休養』を大切にして、精々身体と心の均衡を

保つ事ができればと今はそう願う事しかできない・・・。