月1でやってくる悪魔

数日前から、腰に鈍痛が走るようになっていた。姿勢が悪いから

なのかと思い、祖母から教わった腰痛の体操(ストレッチ)をして

いたのであるが、一時は和らいでもすぐズキズキ痛んでいた。




私はPMSなので月経前になると鬱が酷くなったり、苛立ちが

何処からともなく溢れ出たり、又お腹や腰に鈍痛が走るので

ある。そして何より月経痛が酷い。

下腹部がスプーンで抉られている様な、腰骨の神経を握り潰され

ているような・・・呼吸さえ苦しい状態に陥る。助けの綱は病院で

処方されるロキソニンと貼るカイロである。

私は胃が弱いので余り鎮痛解熱剤を服用できないので、半分に

割ってそれを服用している。




月経はまるで悪魔のようだ。




実は2月に悪魔はやってこなかった。「とうとう止まったのか」

と思っていたけれど、ただ不順になっているだけで今月は不敵な

笑みを浮かべて訪れた。心や脳の病で私はもう精一杯なのに、

その上の苦痛。これを悪魔でなくて何と言うのであろう・・・。

しかしその反面、やっとPMS特有の症状からは解放される。

酷く落ち込み沈み込んだ状態からほんの少し浮かび上がるし、

しつこい苛々から誘発される日中の過食衝動もぴたりと止まる。

痛みという苦しみはあれど、過食衝動と無理矢理闘わなくても

良いというだけで、平穏な気持ちを取り戻せる。




祖母から教わった月経痛を和らげるツボを圧す。やはりその器官

が悪いからか、それも凄く痛い。だけどお腹の痛みは和らぐ。

しかし爪の根元の両端にあるツボを腹式呼吸しながらぐりぐり

20秒間マッサージする事で、以前よりは幾分痛みの酷さは軽く

なっている気がする。このマッサージは薬指の爪だけはやっては

ならない。交感神経を刺激してそれによる症状が出てしまうから

である。薬指以外の爪の根元を刺激すると、副交感神経が優勢に

なり、リラックスして眠気を催し少し楽になる。




後2〜3日は痛みに耐える日々が続く。ロキソニンに頼って

しまうのでどうしても胃が荒れてしまう。




しかしどんなに腹痛・腰痛が酷くても時間が来れば過食嘔吐を

するのである。痛みに顔を歪めながら食べ物を口に運ぶ様は

実に醜い姿であろう。本当に虚しい。一体何をやっているのだと

罵る自分が現れ、でも止められない私が過食を続ける。鈍痛を

無視して嘔吐しきった後、必死で歯を磨きカリウム・糖分を補給

して部屋の真ん中に倒れ込む。過食さえしなければ、日中の

お薬を処方通り服用しなだらかな心持ちでいられる。

食べる苦しみ、嘔吐する苦しみ等味わう事などない。




食べ物を見るだけで憂鬱になる




という気持ちがあるのに、その食べ物に依存して頭や心の中の

あらゆる苦しみや雑念、苛立ちになぞらえて一旦身体に

取り込み、それらの思いを全て吐き出す。その後の一時は

『要らないものは全て出て行った』とすっきりするが、それは

唯の誤魔化しに過ぎないので直ぐにまた過去の苦しみや辛みは

心に蓄積されていく。




きっと摂食障害の症状があるからこそ生き延びているのでは

ないかと感じる。たった一時でも辛苦を忘れてしまえるので

あるから。でも、もう本当に食べるのも吐くのも苦痛で苦痛で

仕方ない。止めたいと思う。頑張って我慢しようとも思う。

だけどそれを強迫観念が


「1日2度過食嘔吐しなければならない」


と私を縛り上げ、逃れる術もなく心の赴くままに気付けば食べて

いる。




その上に月一悪魔がお腹と腰で暴れるのだから堪らない。

自業自得だし病気だから仕方ないとは解っていても、たまに

全て投げ出したくなったり、以前のように自分を傷つけて

罰したい気持ちに駆られる。




胃腸は酷使しすぎてもう衰えているであろうが、まだしぶとく

子宮の機能は働いているようである。凄く皮肉だと感じる。




悪魔は「生きていても辛いだけだろう」と囁く。悪魔に同意の

念を抱く。でも、私はまだ死ねない。まだ、死ねない・・・・・・。